■ 電脳魔女の独言61 椅子2012.11.12

 当節は椅子の種類も多種多様で家具店に行くと目移りしてしまう。
試してみると、座り心地もいろいろでこれっという物は見つけ難い。
一度座ればもう手放し難いという椅子というものもあって、それは
権力の椅子と呼ばれている。
 その椅子に初めて据わった時、やや時間の経過した時、その椅子を
明け渡さなければならなくなった時の、据わっている人の表情の変化
には、なかなかドラマティックなものがある。
最初はそれなりにきりりとして魅力的だったのが段々に変化して崩れ
てくる。終いの方になるとむさ苦しい顔付きになり、そこに居座り続
けようと悪足掻きするので、さらに人相が悪くなる。
江戸川乱歩の短編に人間椅子というのがある。こちらは自分の作った
椅子に誰が座るのかを気にする余り、その椅子に入れるように細工し
そこに隠れて罪を犯す話だ。政治家と椅子職人。立場は全く違うのに
執着の心っておんなじなの。それってこわいね〜。




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